小林信彦の"冬の神話"。
久々に「事件モノ」以外の本を読んだ気がします。
知ったきっかけは、今通勤時に読んでいる”ビブリア古書堂の事件手帖”の4巻に少し紹介されたのが始まり。
あらすじ
昭和19年の夏のおわり、秩父に近い山村の寺に、2名の教師に引率されて到着した、東京下町の小学校児童60余名。太平洋戦争の敗色濃く、空襲の危機にさらされる親許を離れて移住した、“集団疎開”の一団だ。やがて始められた、その生活は? 食糧欠乏による、絶えざる飢えと、孤絶した環境が生んでゆく異常な人間関係。その中で行われる暴力、盗み、背信、リンチ、……互いの、赤裸な生存本能の葛藤に明け暮れる毎日は、彼らにとって、いわば、武器を持たない、凄絶な戦いの日々であった。……戦争を今なお郷愁として把え得ぬ疎開派世代の、悪夢のような体験を純乎とした文学作品に結実させて、復活の待望久しかった、幻の名作!
私的に読まずにはいられない内容だったので(笑)
もう50年以上も前の作品ですがとても読みやすかった本です。
若い時に読むような本ではないが、高齢になると共にこういう本にも興味が出てくるのかも知れません。
さてこのビブリア4巻では、誰もが知る江戸川乱歩の作品が登場しますが、一番驚いたのが乱歩は3~18歳まで名古屋の大須で暮らしていたこと。
先週も行ったくらいよく遊びに行く大須ですが、初めて知りました。
ちなみ大須というのは日本三大電気街のひとつ。マニアックな電気店は昔ほど多くはないけどアニメ・パソコン関連の店の他、若者とお年寄りの向けの服飾店や飲食店が数多く並んでいる商店街です。
乱歩が暮らしていた明治時代には大規模な遊郭もありました。
更に乱歩が定宿とした大須ホテルに訪れたのが、親友かつライバルの横溝正史、乱歩に小説の指導をしたという小酒井不木の家も大須の近くにある鶴舞にあるという事も知った。
凄い・・・明治の推理小説家であるレジェンドたちが、私の身近な場所で過ごしていたこともあるとは・・・。
ちなみに大須(上前津)から鶴舞は地下鉄で一駅で、以前よりは減ったけどこの間の通りには、古書店が沢山並んでいる。何か関係があるのかも知れません。
"冬の神話"を借りて読んだ鶴舞図書館に置いてあるこの本を借りて見ようかな。
で、その著者小林信彦も江戸川乱歩に関する本を幾つか書いております(笑)
このふっと湧くように現れた江戸川乱歩。
作品を読めとの啓示かも知れないが、鶴舞図書館で乱歩の書架を見る限り凄まじい作品数だった。。 そして好きなのは横溝正史の方だ。(特に映像化された金田一耕助シリーズ)
老後や何かの不幸でバイクに乗れないことになった時に考えよう。